2007.3.21.
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末端から滲む5題
(配布元・age様)


5.掌の温もり


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この男。
時々、本当に何を考えてるかまったく分からない時がある。

徹底した頓着の無さ故か、
いつも一定のバランスを保っているように傍目からは見えるのに、
ふとした瞬間に、ひどく不安定な表情を見せる時があるのだ。



「母親の」

寝入り端。
視線も虚ろに、ぼんやりと私の髪を梳いていたと思ったら、
いきなり半身起き上がり、私の手を取り、起き上がるよう促した。


「顔なんて覚えてないけど、温もりは覚えてる」

「・・・・・・」
「かもしれない」



・・・・・・・・・・・だからどうした。

そう言いたくなる気持ちを堪え、とりあえずは視線を合わせ、
その脈絡の無さから言葉の中の真意を推し量ろうと努力する。
ほたるはまったく、表情を変えない。
泥人形の様に、瞳の中が澱んでいる事が気に障る。
この男。
時々、本当に何を考えてるかまったく分からない時があるのだ。



「オレは別に母親を必要以上に求めてるとか無いって思ってたけど、
でもを触ってて、なんとなく、同じ温もりを追ってる気がするような、気がする。
こういうの、・・・・・ホラ、郷愁の念?とかいうのかな?
・・・怪奇現象?・・・・母胎、・・ナントカ」

「・・・・・・・・・」

「アレ?そんなの無かった?・・・・・・・・・・まぁ、いいや」

「・・・・・・・・・・・・・・・・ほたる・・?」





名を呼ばれ、見つめる。見つめ合う。けれども、



声色が変わらなくて、苛立つ。

「触ってよ」




手首を掴まれて、抱きしめたいのに抱きしめられない歯痒さから、
指の腹で包むように頬を撫でたら、瞬間クッと眉を潜めた。
迷子になった童のように、口元を泣き出しそうに噛みしめた。




お前の頭を胸に抱え込んで、思いきり抱きしめて、
やんわりと安堵の息を吐かせたい。

驕ってなどいない。ただ、そうしたいだけ。
私が、お前に、そうしたいんだ。



















ほたるの顔を触っていたら、私の方がふんわり心地良くなって来て、
つい目を閉じた。
自分が作り出した暗闇の中で、目の前の血の温かさに浸った。

つ、と、湿った感触。
舐めた!この・・・・・!!

もう、不敵に微笑っている。口を大きく開けて、舌を出して、
私の手の平に、指の隙間に、ひたむきな愛撫を繰り返す。




振り回されて、目眩 が







「・・・・・・・・・・」





















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短いですがイラストに夢付けてみました。
イラスト、単色気味なのはわざとです。色が浮かばなかったの。
夢含め、そういうのが書きたかったらしいです。分かりやすいのが。・・・判りづらい?アレ?(笑)
相変わらずほたるはヒロインにめた惚れです。どうもそういうのが好きらしいです私が。(///笑)




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