『人魚』
☆宇田☆


たとえば、美しい月の夜、
海岸の岩場でパシャリと音がする。
何だろうと見ると、横座りになって、豊かな長い髪をかきあげる、夜目にも鮮やかな女の影。
それも若い女のようだ。
ああ、泳いでいたのか、それにしても、たった一人でとは剛毅な、と見るともなく見ていると、
雲間から顔を覗かせた月が女のしなやかな下半身に光を投げる。
すると、宝玉に宿る光にも似た白く強い輝きが発せられ。
え、足が? 何故あんなにも光る?
そう思った瞬間、女はそれは見事な銀青色の尾びれをひらめかせて、海に身を投じる。
信じられぬほどの速さで沖に向かうその影を呆然と見送った後には、
先ほどの尾びれの銀を散らしたような波のきらめきが残るばかり…………。



ああん、いいわぁ。
なんたって、イメージがステキよね〜。うふふふ。

人魚とは、上半身がヒトで下半身が魚類で、水中に生息することになってる空想上の生き物。
海に限らず、川とか湖とか池とか淡水性の方々もいらっしゃるらしい。
海のはマーメイドで、淡水のはウンディーネだったかな?
単に、水場に棲んでいる、ちょっと異形の美形な妖精ってコンセプトのお方もいれば、
不思議な歌を歌って、船乗りを骨抜きにして、船を難波させる魔物というお方も、
かの有名な御伽噺みたいに一途に恋に殉じる情熱のお方もいるとの噂。
ま、何にしても、そういうのは全て妙齢の美女人魚です。断言。
男もいるにはいるみたいだけど、この際、度外視いたします。
だって、アマゾンの半漁人みたいなのだったら、ちょっとアレだし、
それでなくても、宇田、基本がユリだしー(笑)。
てことで、好きです、人魚。

でも、お気の毒なことに、洋の東西を問わず不吉の象徴なの。
文学作品でも幸せになったタメシが無くて、
現実の銅像も迫害を受けてるらしい。
コペンハーゲンの人魚像なんて、何度、首を持ってかれちゃったか。可愛そ過ぎる(涙)。
そういう薄幸ぶりは気に入りません。
だってほら、せっかく美しいんだから、それに見合う幸福を与えてやれよ、と思うワケです。
せめて、お話のひとつくらいは、彼女達を本人の思うさま活躍させたげて、
海も自由に泳ぎ回らせたげて、ついでに恋人もゲットさせたげて、
で、ラストはめでたしめでたし…で終わる話があったっていいのに。
そう思いません?

なんて言うと、じゃお前が書けよ、という話の流れになりそうなんですけど。
そ、それは妄想の波まかせということでっ(スタコラスタコラ)。

おっと、次の御題ですね。
では、人魚に付き物ってことで「真珠」。これ行きましょう。ヨロシク〜。


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オマケの豆知識

コペンの人魚姫像のモデルって、
先年亡くなった俳優の岡田眞澄の叔母さんだそうです。
岡田真澄さん自体、
フランスの美男俳優、故ジェラール・フィリップに擬せられる人だったけど、
美形の家系なんだな〜。

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